はじめに
地図アプリで現在地が分かる背景には、衛星の信号と時刻を使う測位技術があります。GPSは米国の衛星測位システムの名称で、衛星測位システム全般を表すGNSSの一つです。ここでは距離の求め方、4衛星が必要になる理由、スマホの精度の限界を整理します。
GPS衛星は何を送っている?
GPS衛星は高度約20,200kmを周回し、測位用の信号を送っています。受信機は信号に含まれる時刻や軌道の情報を使い、信号が届くまでの時間と衛星の位置を求めます。時刻差だけでなく、衛星がどこにいたかの情報も必要です。
電波が届く時間から距離を求めるには?
基本は「伝わった時間×電波の速さ」です。光速を約30万km/sとすれば、0.070秒は約21,000kmに相当します。これは原理を説明するための例です。実際には受信機の時計のずれや大気の影響も含まれるため、最初に得る距離は擬似距離と呼ばれます。
なぜ4つ以上の衛星を使う?
通常の3次元測位では、位置の3成分と受信機の時計のずれという4つの未知数を、複数衛星の観測から同時に求めます。基本的に4衛星以上が必要です。「3衛星が位置専用、残り1衛星が時計専用」という役割分担ではありません。
実際にはより多くの衛星を使って推定します。ただし4衛星を受信できれば必ず正確になるわけではなく、衛星の配置と信号の質も影響します。
位置がずれるのはなぜ?
主な要因は、電離層・対流圏による遅れ、建物で反射した信号を受けるマルチパス、衛星の配置、アンテナや受信機の性能です。建物や樹木による遮蔽も影響します。端末の価格だけで精度を決めることはできません。
地下や屋内では衛星信号を十分に受信できない場合があります。地図アプリの現在地表示にはWi-Fi、基地局、センサーなどの情報が組み合わされることもあり、表示された位置が必ずGPSだけで求められたとは限りません。
GPS・マルチGNSS・A-GPSはどう違う?
複数の衛星測位システムを使う方式がマルチGNSSです。GPSのほか、Galileo、GLONASS、BeiDou、みちびき(QZSS)などがあります。利用できるシステムと信号は端末によって異なります。A-GPSは補助情報を通信経由などで受け取り、測位開始を助ける仕組みで、衛星システムの名前ではありません。
みちびき対応ならスマホも数cmの精度になる?
みちびきには衛星測位を補うサービスと、精度を高める補強サービスがあります。対応スマホが衛星測位信号を使えることと、センチメータ級測位補強サービス(CLAS)を使えることは別です。内閣府のFAQでも、みちびき対応スマホというだけで数cmの精度が得られるわけではないと説明されています。
RTKなどの高精度測位にも、対応する受信機・補正情報・良好な受信環境などの条件があります。スマホの地図表示が自動的にその精度になる、と理解しないことが大切です。
参考情報
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まとめ
GPSは衛星の時刻と位置情報から擬似距離を求め、受信機の時計のずれも含めて位置を推定します。GPSとGNSSは同じ意味ではなく、みちびき対応もセンチメータ精度の保証ではありません。測位の仕組みと利用条件を分けると、位置がずれる理由を理解しやすくなります。


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