ジャイロセンサーの仕組み|AIが解説するテクノロジーの裏側

モヒカンと眼鏡のキャラクターが、スマートフォンの回転を矢印で紹介するイラスト AIが解説するテクノロジーの裏側

はじめに

スマホの向きでゲームを操作したり、カメラの手ブレを抑えたりする場面で活躍するのがジャイロセンサーです。ただし、画面の縦横切り替えなどは加速度センサーも関わり、向きの検出をすべてジャイロだけで行うわけではありません。

ジャイロが測るのは回転の速さ。その値から角度を求める仕組みと、長時間使うと向きの推定がずれる理由を見ていきます。

ジャイロセンサーは何を測る?

3軸ジャイロは、X・Y・Zの各軸のまわりの角速度を測ります。単位は°/s(度毎秒)やrad/s(ラジアン毎秒)です。Androidのジャイロ出力はrad/sで表されます。

角速度は角度そのものではありません。例えば、ある1軸のまわりを毎秒90度で1秒間回すと、回転角は90度です。このように角速度を時間に沿って積み重ねる計算を「積分」と呼びます。3次元の姿勢では回転の組み合わせも考慮して計算します。

参考:Android Developers「Motion sensors」

MEMSジャイロはどう回転を検出する?

スマホでは、微細な機械構造と電子回路を組み合わせたMEMS(微小電気機械システム)方式が広く使われます。内部の小さな振動体を動かし、回転によって生じる変化を検出します。

コリオリ力で振動に変化が生じる

回転する座標系では、動いている物体にコリオリ力という見かけの力が働きます。振動式ジャイロでは、この作用による振動体の別方向の動きを、例えば電極間の静電容量の変化として読み取ります。一定の駆動条件では、その応答から角速度を求められます。

参考:Analog Devices「Angular-Rate-Sensing Gyroscope」

向きの推定がずれるのはなぜ?

静止していても出力が完全なゼロにならないずれ(バイアス)やノイズがあり、角速度を積分すると角度の誤差が蓄積します。これが姿勢推定のドリフトにつながります。センサーの値が時間とともに必ず一方向へ増える、という意味ではありません。

例えば一定の誤差が残っていれば、回転していないのに少しずつ回っていると計算してしまいます。温度補償や校正でも誤差を減らしますが、ジャイロだけで絶対的な向きを長時間保つのは難しくなります。

ほかのセンサーと組み合わせる理由は?

センサー融合は、複数の測定値を組み合わせて姿勢を推定する方法です。ジャイロで短時間の回転を追い、加速度センサーなどの情報でずれを補います。必ずAIを使うわけではありません。

加速度センサーは静止に近い状態なら重力方向を手掛かりに傾きを補正できます。ただし、強い加速や振動も測定値に含まれ、重力方向だけでは水平面内の方位を決められません。

地磁気センサーは磁北を基準にする手掛かりになりますが、磁石や周囲の金属などに影響されます。組み合わせれば常に正解になるのではなく、状況に応じて各情報の信頼度を考慮します。

参考:Analog Devices「The Case of the Misguided Gyro」

手ブレ補正やゲームでどう使われる?

手ブレ補正では、ジャイロが検出した回転を、レンズや撮像素子の制御、画像処理などに利用します。搭載する補正方式によって使い方は異なり、ジャイロ自体が画像を直すわけではありません。

ゲームやARでも素早い姿勢変化の検出に役立ちます。実際の反応速度や安定性は、センサーだけでなく処理や表示の遅延にも左右されます。端末によって搭載センサーや利用できる機能は異なります。

関連記事

IMU(慣性計測装置)の仕組み|AIが解説するテクノロジーの裏側

手ブレ補正の仕組み ― “揺れ”を感じて打ち消す小さな頭脳|AIが解説するテクノロジーの裏側

GPS(位置情報)の仕組み|AIが解説するテクノロジーの裏側

まとめ

ジャイロセンサーが直接測るのは、各軸のまわりの回転の速さです。角度や姿勢はその測定値から計算しますが、積分によって誤差も積み重なります。加速度や地磁気などと組み合わせ、それぞれの限界を補うことで、スマホの操作や手ブレ補正に役立っています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました