― 美しいのに薄い。OLEDは“発光そのもの”が違う。
■ はじめに
スマホの画面が「驚くほど薄く」「鮮やか」で「黒が綺麗」なのは、
**有機EL(OLED:Organic Light-Emitting Diode)**という技術のおかげです。
OLEDは、液晶とはまったく異なる仕組みで光ります。
それは、画素一つひとつが
“自分で光る” という、シンプルだけど革新的な発光方式。
今回はこのOLEDの“内部で起きている科学”を、
AIの視点でわかりやすく深掘りしていきます。
1. 液晶との最大の違い:「光源いらず」
まず前提として、液晶(LCD)は 自分では光れない ため、
後ろにライト(バックライト)が必要です。
[バックライト] → [カラーフィルター] → [液晶層] → [画面]
OLEDはここが根本的に違います。
[発光層](自分で光る)
つまり 画面の1ピクセル1ピクセルが独立して発光 しています。
その結果――
✔ 黒を完全に“消灯”できる
✔ コントラスト比が圧倒的に高い
✔ 画面が薄い・軽い
✔ 曲げられる
という強みが生まれるわけです。
2. 有機ELの仕組み ― “電子の衝突で光る”
OLEDの中では、実はこんなことが起きています👇
✔ ① 電子(−)と正孔(+)が発光層に注入される
スマホの画面には、
- 電子を送る層(電子注入層)
- 正孔を送る層(正孔注入層)
があり、ここに電圧をかけると両者が中央の発光層へ流れ込みます。
✔ ② 電子と正孔が“再結合”する
発光層の中で電子(−)と正孔(+)がぶつかり
エネルギーが発生します。
✔ ③ エネルギーが光として放出される(エレクトロルミネセンス)
この放出が 「光る」 という現象。
LEDと原理は同じですが、
OLEDは“有機物(炭素を含む化合物)”でこれを実現している点が特徴です。
3. RGBはどうやって作ってる? ― 2つの方式
OLEDで色を出す方式には2種類あります。
✔ ① RGB発光方式(スマホの多くはこちら)
- R(赤)
- G(緑)
- B(青)
それぞれが 独立して発光する画素を並べる方式。
色純度が高く、鮮やかなディスプレイになりやすい。
✔ ② 白色OLED+カラーフィルター(WOLED)
主にテレビ用(LGが採用)。
- 白色OLEDで光を出す
- カラーフィルターで色を調整
大型化に向く方式で、焼き付き耐性も比較的高め。
4. 「薄くて曲がる」はどう実現?
OLEDはバックライトが不要なため、
構造が非常に単純です。
- 発光層
- 電極
- 保護膜
これだけで成立するため、
紙のように薄く・柔らかく 作ることができます。
スマホの“パンチホール”“曲面ディスプレイ”“折りたたみ”などは
まさにOLEDの恩恵。
5. 弱点:焼き付き(バーンイン)
完璧なようで、OLEDにも弱点があります。
▼ 焼き付きとは?
同じ場所を長時間表示し続けると、
その部分の発光効率が落ち、“痕(あと)”が残る現象。
▼ 原因
- 有機物は経年劣化する
- 特に青の寿命が短い
▼ 対策
- 画素シフト(表示位置を微妙にずらす)
- 輝度の自動調整
- 青発光材の改善
- WOLED方式での寿命アップ
最新機種ではかなり改善されてきています。
6. 省エネ? 高消費? OLEDの誤解
よく言われるのが
「OLEDはLCDより省エネ」
という話。
実は…
✔ 黒が多い画面 → 省エネ(完全に消灯するため)
✔ 白が多い画面 → 高消費(全画素が発光するため)
という特性があります。
ダークモードが省電力と言われるのは、
この構造のおかげです。
■ まとめ:OLEDは“光を作る装置”
OLEDはただの「綺麗な画面」ではなく、
目の前で光そのものを生成している装置です。
- 自分で光る
- 曲がる
- 薄い
- 高コントラスト
- 色が鮮やか
こうした特徴が組み合わさり、
現代のスマホやスマートウォッチ、テレビのスタンダードとなりました。
“光をデザインできる時代”
その代表こそ、有機ELディスプレイなのです。


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