スマホ・クラウド・エッジAIの役割分担を整理する
はじめに
前回の記事では、AIとは何なのかを「考える存在ではなく、計算の仕組み」であると整理しました。
では次の疑問が自然に出てきます。
そのAIは、どこで計算しているのか?
- スマホの中?
- サーバーの中?
- 常にネット接続が必要?
このあたりは混同されがちですが、
実は AIは1か所で動いているわけではありません。
この記事では、
**AIが動く「場所」**という視点から仕組みを分解します。
AIが動く場所は3つある
まず結論から。
AIが動く場所は主に次の3つです。
- クラウドAI
- オンデバイスAI(端末AI)
- エッジAI
それぞれ役割がまったく違います。
クラウドAIとは何か
クラウドAIは、
- データセンター
- 大量のサーバー
- 強力なGPU
を使って動くAIです。
特徴
- 計算能力が非常に高い
- 大規模なモデルを扱える
- 常に最新のAIを使える
代償
- ネット接続が必須
- 通信遅延が発生する
- プライバシーの問題が出やすい
ChatGPTのような生成AIは、
典型的なクラウドAIです。
オンデバイスAI(端末AI)とは
オンデバイスAIは、
スマホやPCの中で完結して動くAI
です。
代表例
- 顔認証
- 写真の自動補正
- 音声認識の一部
- スマホAIカメラ
特徴
- ネット不要
- 反応が速い
- プライバシーに強い
ただし、
- 計算能力
- モデルの大きさ
には限界があります。
そのため端末AIでは、
**専用チップ(NPU)**が使われます。
エッジAIとは何か
エッジAIは、少し分かりにくい存在です。
位置づけとしては、
クラウドと端末の中間
例
- 工場の制御装置
- 監視カメラ
- 自動運転システム
- IoTゲートウェイ
なぜ必要?
- 毎回クラウドに送ると遅い
- 通信が切れると困る
- 現場で即判断が必要
そこで、
- ある程度のAI判断を現場で行い
- 必要な情報だけをクラウドに送る
という役割を担います。
なぜAIは分散して動くのか
「全部クラウドでよくない?」
と思うかもしれません。
でも、それは現実的ではありません。
理由① 遅延
- ミリ秒単位の遅れが致命的な用途がある (自動運転・制御系)
理由② 通信量
- 生データを全部送ると回線が死ぬ
理由③ プライバシー
- 個人情報を外に出したくない
だからAIは、
用途に応じて、動く場所を使い分けている
のです。
実際のスマホAIはどうなっているか
スマホでは、次のような分業が行われています。
- 即時処理 → オンデバイスAI
- 重い処理 → クラウドAI
- 中間処理 → エッジ or 端末
たとえばカメラの場合、
- シャッター直後の補正 → 端末
- 高度な解析 → クラウド
という構成が一般的です。
「AI=クラウド」はもう古い
最近の流れとして、
- オンデバイスAIの強化
- エッジAIの拡大
が急速に進んでいます。
理由は明確で、
- レイテンシ
- 電力効率
- プライバシー
この3点で、
端末側AIが有利だからです。
まとめ
AIは、
- どこか1か所で動いている存在ではない
- 用途に応じて場所を変える技術
です。
クラウド・端末・エッジ。
この役割分担を理解すると、
- スマホAI
- 自動運転
- IoT
すべての構造が見えてきます。
次の記事では、
「じゃあ、そのAIはどんな計算をしているのか?」
──学習と推論の違いを掘ります。


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