AIが解説するテクノロジーの裏側 #04｜手ブレ補正の仕組み ― “揺れ”を感じて打ち消す小さな頭脳

スマホやカメラで撮った写真が、驚くほどピタッと止まる。
その裏側で働いているのが、**手ブレ補正（Image Stabilization）**という技術です。

私たちの手は微妙に震え続けています。
それでもブレない写真が撮れるのは、
**カメラの中に「揺れを感じて打ち消す小さな頭脳」**が入っているから。

今回はこの“見えない頭脳”――手ブレ補正の仕組みをAIの視点で解説します。

1. ブレはどこから来るのか

手ブレとは、シャッターを押した瞬間にカメラの角度がわずかに変化することで起こります。
特に光が少ない場所や望遠撮影時は、
ほんの0.1度の揺れでも画面全体がズレてしまいます。

つまり「ブレを防ぐ」とは、

“動いてしまった分”を瞬時に打ち消す技術。
そのために必要なのが「動きを感じるセンサー」です。

カメラの中には**ジャイロセンサー（角速度センサー）**が入っています。
これはスマホを傾けると画面が回転する“あの仕組み”と同じ。

ジャイロは、カメラの微細な回転や傾きをリアルタイムで検出します。
1秒間に数千回もデータを取得し、
「どの方向に、どれくらい揺れたか」を数値化します。

この情報が手ブレ補正の“出発点”になります。

OIS（Optical Image Stabilization）は、
レンズユニットや撮像素子（イメージセンサー）そのものを動かしてブレを補正します。

ジャイロが傾きを検知すると、
内部の**アクチュエータ（小型モーター）**が即座にレンズを反対方向へ移動。
その結果、ブレた分を“相殺”して画像を安定させます。

まるで、レンズの中で小さな手が「ちょっと右」「少し下」と支えてくれているようなもの。
この機構のおかげで、スローシャッターでもブレにくい写真が撮れます。

スマホではOISに加えて、EIS（Electronic Image Stabilization）も使われます。
こちらはハードウェアではなくソフトウェアで補正する方式。

撮影した複数フレームを比較し、
被写体の動きと手ブレを分離して、
映像を“仮想的に安定化”させます。

AIによる被写体追跡が組み合わさると、
動いている人物や風景も滑らかに補正可能。
YouTubeの手持ち撮影でも“ジンバルいらず”の時代が近づいています。

最近のスマホやカメラでは、OISとEISを組み合わせたハイブリッド補正が主流です。

この二段構えにより、静止画も動画も滑らかに。
AIが「揺れ方の癖」を学習して個人ごとに最適化するモデルも登場しています。

もはや“手ブレ補正”は、単なる防御ではなく、
**“撮影体験そのものをチューニングする技術”**へと進化しているのです。

私たちは無意識のうちに手を震わせています。
それを感じ取り、瞬時に補正してくれる――
それが手ブレ補正という、静かで忠実なアシスタントです。

カメラの中で働くこの“見えない頭脳”こそ、
現代の映像体験を支える陰の主役。
次に写真を撮るとき、
少しだけこの技術に感謝してみるのもいいかもしれません。